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■私と自然退縮

1990年、腎臓ガンを発病した私は、退院後のある日、自然退縮の存在を知る。それは、ある本に紹介された、九州大学名誉教授・池見酉次郎氏の次の話によってであった。「私どもは十数年前、ガンの自然退縮の研究を始めました。末期ガンになって医者から完全に匙を投げられた患者さんが、時として自然に治ってしまうんですね」
     
そのことを妻に知らせると、彼女は恵みのように微笑んだ。「自然に治るくらいなら、ガンも大したことないね」。この時私の心の中で、治るスイッチが〈オン〉になった。1993年、私は、自然退縮をした人たちの証言を海外にまで出掛けて取材。NHK教育テレビスペシャル『人間はなぜ治るのか』三本シリーズとして放送。教育テレビ始まって以来の大反響となった。

1995年、大幅な追加取材をした上で、「幸せはガンがくれた・心が治した12人の記録」(創元社)を出版。こうした経験から、対処法さえ間違わなければ、ガンが他の生活習慣病に比べても、〈治りやすい〉病気であることを確信するに至った。

以下は、そんな私が自然退縮から学んだことのエッセンスである。

■自然退縮を知るメリット

1.ガンの誤ったイメージを跳ねとばしてくれる。
精神神経免疫学は、言う。「恐怖・不安・絶望などのマイナスの感情は、免疫を下げて、ガンを治りにくくする。」、「喜び・希望・安心・勇気などのプラスの感情は、免疫を上げて、ガンを治りやすくする。」

だが、世の中には今も、〈ガン・イコール・死〉という、誤ったイメージが蔓延。患者たちは、ガンそのものと戦う以前にその絶望的なイメージに打ち負かされてしまう。心は体の設計図。建物が設計図どおりにできあがっていくように、心が勝てば、体はきっと、完全治癒を実現する。とすれば、ガン患者は何よりもまず、自然退縮の存在から、大きな希望を得ることが大切。治らない設計図を破り捨て、〈治る設計図〉に書き替えるのだ。
     
2.現代ガン医療の限界と、あるべきガン医療の姿が分かる
最終的には、〈自然に治った〉ガンが、一度は医師から見放されるほど悪くなったのは何故か。ここにこそ現代ガン医療の誤りがある。氷山になぞらえた『ガンの原因と結果の図 』を見てほしい。

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三大療法ができることは、手術で切り取り、放射線で焼き、抗ガン剤で毒殺すること。つまり、ガンという結果を取り除くだけ。自然退縮の人の多くも、再発、転移、あるいは医師から見放されるまでは、三大療法にすがり、悪化の一途をたどっていった。ガンの原因は手付かずのままなのだから、不思議はなかったのだ。

では、医師から見放された彼らが何故、生還しえたのか。

一つ。海面下に隠れた、ガンの原因を、徹底的に取り除くこと。
一つ。玄米菜食、気功、健康食品、漢方、鍼、瞑想、ヨガ、枇杷葉温灸やショウガ湿布などの自然療法で、免疫向上をはかったこと。

どれもみな、平凡なことばかり。決して決して、何か特別なことをしたのではない。誰にでも、明日からでも始められる地味なことを、日々、営々黙々と積み上げた結果にすぎない。多くの人にとって、自然退縮が稀な存在に見えるとすれば、それは、〈当たり前のことを必死でやる人〉が少ないということにすぎない。が〈一人の身の上に起こった良きことは、誰の上にも起こるチャンスがある〉のだ。

■自然退縮から目をそらす人々

虚心坦懐に目を向けるなら、自然退縮は、患者・医者双方にとって、実に多くのことを教えてくれる。だが、さまざまな理由から、あえて目をそらす人たちがいるのは、きわめて残念なことである。
     
1.自然治癒力を知らない医者  
信じがたいことだが、西洋医学の教科書には、『自然治癒力』という言葉が、無い。そのため医師たちは、治療という〈外部からの力〉を加えない限り、病気は治らないと思い込んでいる。ガンなら、手術で切り取る、放射線で焼く、抗ガン剤で毒殺するしかない。原因さえ取りのぞけば治るなんて、信じられないという訳だ。

『創傷治癒』という言葉は習っているから、骨折や怪我の傷が自然に治ることは理解できる。にもかかわらず、話がガンに及んだ途端、「自然治癒力で治るなんてありえない」となる。その迷いと誤りの根は、実に深い。

2.『ウィルヒョウの呪い』に、かかっている医者
ウィルヒョウとは、ガンの定義で知られる十九世紀の細胞病理学者。「ガン細胞は、宿主(患者)が亡くなるまで、無限の増殖をする」

何と絶望的な定義であることか。が、これは、免疫機能を無視している点で大きな誤り。ガン細胞は、人類全員に毎日何個かは生まれている。だからもしウィルヒョウの言うとおりであれば、全員がガンで死ぬことになってしまう。私はこれを、『ウィルヒョウの呪い』と名付けた。図中の黒い雲がそれ。ガンセンターを初めとする三大療法一辺倒の医者たち。そして、結局ガンは治らないから、「患者よガンと闘うな」と説く近藤誠氏。彼らは、この呪いにかかっているため、きわめて悲観的である。

不幸なことに、大半の患者は、こうした医者の考えに感染する。かくて、『治せないと思っている医者』と『治らないと思っている患者』のコンビが出来上がる。精神神経免疫学に照らすまでもなく、これでは、ますます治りにくくなる。私は、このコンビを『絶望のコンビ』と名付けた。ここから脱出するためにも自然退縮に学んでほしい。

3.信じたくない患者たち
「末期ガンが治るなんて気休めではないか」。ある講演会でこんな質問が出た。なんとか治りたくて、私の話を聞きにきたはず。なのに信じたくないとは、せっかくの治るチャンスをみすみす捨てるようなもの。「どうせ私には、無縁の存在」とも言う人も多い。誰にもチャンスがあるなどと認めてしまうと、自分も努力をしなければいけなくなるからだろう。両者とも、これまであまりにも否定的なイメージに痛め付けられすぎたせいである。

余命一ヶ月の肺ガンから生還したKさん。まったくの健康体で二年目を迎えたにもかかわらず、「自分が自然退縮するなんて、信じられない」と言い続け、ついに、再発をしてしまった。心は体の設計図だ。治ることを信じられない心は、ついに、体の上に、その疑いを実現してしまったのである。

■自然退縮の新しい定義

自然退縮など、私には無縁。そう言って、諦めてしまう人がいる。

それは、〈文字通り、一切何もしないにもかかわらず治る〉という、自然退縮の〈古い定義〉にとらわれているからだ。だがすでに見てきたように、彼らは、まったく何もしなかったわけでは決してない。西洋医学的な治療をしなかっただけだ。

その代わり、すでに見てきたように、氷山の海面下を必死で改めてきた。だが医師たちには、その努力がまったく見えていない。だから、奇跡的、あるいは特別な例外だと誤認し、挙句には、もともとガンではなかったと考えたりするのである。
そこで私は、以下のような、自然退縮の〈新しい定義〉を提出したい。

自然退縮とは、三大療法のように、ガンを直接攻撃することなく、〈自然治癒力(免疫)を持ち上げることによって、ガンを消滅に導いていくこと〉であると。とすれば、今この瞬間にも、自然退縮は全国各地で起こっている。代替医療の現場で、自助療法に熱心に取り組むたくさんの患者さんの家庭で。もちろん、それは決して奇跡でも何でもない。

新しい定義から学ぶこと。
1. 自然退縮とは、何もしないで放置しておいたのに、訳も分からず治ることではなく、自然治癒力を応援した結果、治ることである。
2.代替医療や民間療法は、自然退縮を意図的に起こす方法である。
3.誰にでも、自然退縮が起きるチャンスがある。
4.西洋医学に見放されても、ガンは十分、自分で治せる。

■自然退縮を実現できる人、できない人

自然退縮を実現できる人、できない人。その違いは何か。私は、多くの実例の取材から、次のような態度で、ガンに向かうことができるかどうかだと考えている。
     
1.害になることをやめる
人はとかく、〈足し算健康法〉に走る。良い治療法、良い薬、良い健康食品、ガン治しに効果のある栄養素を含んだ食物や料理。次々と付け足していく。がしかし、彼らが真っ先にやったことは、〈引き算健康法〉である。 煙草、酒、肉、卵、牛乳、加工食品、添加物、白米、白砂糖。夜更かし、不規則な生活、働きすぎ。いさかい、怒り、恨み・・・。山ほどある、〈悪いもの〉〈悪いこと〉をまずやめた。その上に、慎重に選んだ〈良いこと〉を、積み上げている。

ガン以前の生活習慣や生き方は、今にもつぶれそうなあばら家。あせって〈良いこと〉を建て増ししても、基礎もろとも崩れてしまう。だからまず、すべてをぶっこわして更地にする。その上で、新しい建物を建てるのだ。つまり、人生の棚卸し。総決算。生まれ変わり。

生活排水や産業廃棄物で腐敗しきった川も、それら〈悪いもの〉をストップするだけで、水質は回復する。自浄能力があるからだ。体には自然治癒力がある。だからまず、〈悪いもの〉〈悪いこと〉をやめる。それだけでも、回復に向かうものだ。

2.言い訳をやめた
治ったあの人は自分より・・・若い。経済力がある。家族の協力がある。症状が軽い。治りやすいガンだった。発見が早かった。幸運だった。情報が手に入りやすかった。コネがあった・・・何とか、自分の不利な条件を探そうとする。こういう言い訳は、行動力を奪う麻薬。

一晩に二度も意識不明になるほどの末期の膵臓ガンから生還した小山王さんの言葉。
「玄米がまずいの、何がどうのって、色々言う人がいるけれど、死ぬのとどっちがいいと思ってるんだと、ね。命と交換ですよ」
     
3.取り引きをやめた
「治るものならやってみたいが、ダメなのならやりたくない」と言う人がいる。典型的な取り引きである。酷なようだが、これでは、うまくいかないだろう。やれることは、何でもやる。やる以上は、これで絶対に治ってみせる。必ず治る。と思ってやるべし。

ショウガ湿布がいいと聞いた翌日から、三日間必死でやり続け、モルヒネを使っても取れなかった骨転移の痛みと縁を切った女性もいる。彼女は、取り引きとは無縁だった。
     
4.希望と自信を持つ
「どうすれば、希望が持てるだろうか」「治る自信が持てない」と言う人がいる。気持ちは分かるが、希望も自信も、〈行動〉しない限り手に入らない。いや、どちらも実はすでに自分自身のなかに眠っている。それを呼び覚ますのが行動である。

治った人の本を読む。治った人の声を聞く。治った人に会いにいく。希望につながる講演やセミナーに出掛けてみる。ともかく、すぐにやることだ。

5.医者の言葉を跳ねとばす
「治療法がない」
この医者は、『三大療法しか知らない私には、もう打つ手が無い』と言っているだけ。代替療法、自助療法など、治療法はいくらでもある。試すチャンスが来たのだと喜ぼう。

「もう治らない」
この医者には、治せないというだけのこと。あなたのガンが治らない訳では、決してない。

「あと〇ヶ月」
余命宣告をする医者の心理は、以下のとおり。

そのとおりに、患者が亡くなれば、自らの予言の正しさが証明されて権威が高まる。
予想に反して延命すれば、自分の手柄。患者に感謝される。
どちらに転んでも医者には損はない。こんな無責任な言葉など、即、蹴飛ばしてしまうことだ。

私は明言する。医者たちは、せいぜい三大療法という、極めて狭い領域のプロであるにすぎない。だが、私たち患者は、生きるプロ。何があっても、病に負けず、生き抜いていくプロなのだ。

自然退縮の人たちは、そのことを証明した。今度は、あなたが証明する番である。

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