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●治るために、こんな人たちは近付けない方がいい。
ガン患者は、ガンそのものと戦う以上に、「ガン・イコール・死」という絶望的なイメージとも戦わねばならない。これは、他の病気の患者にはない、きわめて不利な情況である。
にもかかわらず、“親切”という仮面をかぶって、その絶望のイメージを、あなたのところに運んでくる困った人たちが少なからず存在する。そんな輩を、絶対に近付けてはいけない。
●まず、気をつけなければいけないのは、お節介な見舞いの声。
それは、病室まで押し掛けてくることもあれば、避けようもなく、ぱったり道で遭遇することもある。
「もっと大きな病院に変わった方がいいんじゃない?」
「あなたガンなのに、こんなことしてて、大丈夫なの?」
これくらいなら、まだましな方でしょう。
「やっぱり痩せたね」
「顔色が悪いんじゃない?」
「〇〇さんも、ガンで入院してるけど、良くないみたい」。
こんな無神経な人さえ、珍しくない。
事実私は、以上の全てを、何人かの人たちから聞かされた。それどころか、ホスピスや終末医療関係の本を読むようにすすめる非常識な人さえいた。
しかも、彼らは決まって、眉にしわを寄せ、いかにも私のことを心配しているのだという表情を作って・・・。
こんな人たちを絶対に近付けないようにしよう。
彼らは心の深いところで「ガン・イコール・死」と思っている。そして私やあなたのことを死神に取りつかれた、かわいそうな人と見ているに違いない。
気の弱い患者さんは、無神経で無知なそんな人たちの暗い表情から、「あ、自分はやっぱり、こんなに重大な病気になってしまったんだ」と、ショックを受けかねないだろう。
彼らの表情から、死のイメージに感染してしまう可能性すらある。
こんな人たちは、即座に追い払おう。もし避けようがなければ、迷惑していることをはっきりと伝えたほうがいいだろう。
●たとえば・・・
私は、もともと痩せ形なのに、しばしば「また痩せたね、大丈夫?」と声をかけられ閉口したことがある。「なんか、一段と痩せたんじゃない?」という者もいた。彼らは、痩せること即ち、病気の悪化だと完全に誤解をしているのだ。
“そうではない。私は玄米菜食を始めたから、痩せているだけなのだ。その証拠に、あなたなんかより、はるかにスタミナも筋力もある”。心で何度こうつぶやいただろう。
しかし、わざわざ口に出していうのは、大人げない気もして、言い出せなかった。と、鈍感な相手は、あたかもそれが習慣であるかのように、職場で私に出くわすたびに、繰り返すのであった。朝など、これを聞かされただけでげんなり。
そしてついに、私は次のような手紙を書くことにした。
「お言葉をかけてくれるのはうれしいのですが、実は、痩せたと言われるのは、とても嫌なのです。あなたには、ガンで亡くなる人は、だんだん痩せていくというイメージがあって、私を見るたびに、痩せた痩せたと言うのではありませんか?これは、ガン患者をとても傷つける言葉だということを覚えておいてください」。
●あいさつの言葉は、他にもいくらでもあるはずです。
いつまでもワンパターンのあいさつを繰り返すとは、教養あるあなたらしくありませんよ。もし、どうしても他の言葉が思いつかないのでしたら、今度声をかけてくれるときには、嘘でもいいから、ただ一言、次のように言ってください。
『元気そうだね』
これでいいのです。もし、私のことを本当に心配してくれているのでしたら、こう声をかけてみてください。私は、その日一日、どんなに嬉しいでしょう・・・」
ちなみに、私が日頃から尊敬していたある先輩の女性は、退院直後の私の顔を見るなりニッコリ笑って言いました。
「川竹さんっ、ずいぶん元気そうですねっ!」
私は今も、この人を深く敬愛している。
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